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クローズアップ2011:沖縄密約文書「廃棄の可能性」 許した国の「逃げ得」

1972年といえばスラチャイが大学を卒業した翌年にあたります。
あの頃の新聞社には記者魂に満ちあふれた記者たちが満ちあふれていたような気がします。
今の新聞社には、身体を張って政治や行政の悪をあばくような人たちが少なくなっているのではないでしょうか。
この国の司法、立法、行政、どこもかしこもタガがゆるんできているような気がしています。
無実の人を無理矢理罪人に仕立て上げる検察やいまいち歯切れの悪い裁判所の判決。
ちょっと危ないのかも。
(スラチャイ)

(Mainichi Japan) September 30, 2011
Court ruling in secret papers case allows gov't a way out of disclosing information
クローズアップ2011:沖縄密約文書「廃棄の可能性」 許した国の「逃げ得」

 ◇情報公開の枠外容認

The Tokyo High Court on Sept. 29 dismissed demands for disclosure of diplomatic papers that reveal a secret pact between Japan and the U.S. over the 1972 reversion of Okinawa, concluding that the government was no longer in possession of the papers and also stating that the government may have discarded the documents.
 沖縄返還(72年)を巡る日米間の密約を示す文書の開示を求めた訴訟の29日の控訴審判決は、「文書廃棄の可能性」にまで踏み込む一方、その裏返しとして「文書は現存しない」と判断、原告の訴えを退ける結果となった。東京地裁、東京高裁による一連の裁判は情報公開制度における門戸を広げながら、最終的に国の「逃げ得」を許してしまうという課題も残した。

The decision was handed down at an appeal trial following a Tokyo District Court ruling in April 2010, in which Presiding Judge Norihiko Sugihara eliminated criteria that had held the plaintiffs responsible for proving that the documents they are seeking still exist -- an arrangement that was very advantageous for the government.
 1審・東京地裁の判決が示されるまで、不開示文書の存在を立証する責任は原告にあるとされ、極めて国に有利な仕組みだった。

He said: "If the plaintiffs can prove that the documents were compiled and retained at some point in the past, unless the government can show that the papers were no longer in its possession due to abandonment or transfer out of its control, it will be assumed that the government was in possession of the documents at the time it rejected demands for the papers' disclosure."
 ところが10年4月の1審・東京地裁判決で、杉原則彦裁判長は「原告が過去のある時点で文書が作成・保有されていることを立証した場合には、国が廃棄や移管により保有が失われたことを立証しない限り、不開示決定の時点においても保有していたと推認される」として、原告の立証要件を緩和。

Sughihara's ruling, which was hailed as groundbreaking, also said that a criterion for ruling on the existence of highly confidential papers like the Okinawa reversion papers would be whether the state conducted "a reasonable and thorough search."
また、沖縄密約文書のような秘匿性の高い文書の不存在決定を出す際には「合理的かつ十分な探索」による国側の調査を行ったかどうかを、保有の有無を推認する基準として初めて示し「画期的」と評価された。

Judge Kaoru Aoyagi, who presided over the government's appeal at the Tokyo High Court, generally adhered to Sugihara's ruling on surmising the existence of documents, but added two conditions: that the documents are normally stored under management at or exceeding a certain level and that there are no special circumstances that cast doubt on such surmising.
 2審・東京高裁(青柳馨裁判長)も基本的には1審のこの考え方を踏襲。ただしその条件として(1)文書が通常であれば一定水準以上の管理体制下に置かれている(2)保有の推認を妨げる特段の事情がない--ことを挙げた。

Based on searches at both the Foreign Ministry and the Finance Ministry that failed to turn up the documents in March 2010, Aoyagi denied that the situation fulfilled the former criteria: "There was a great possibility that unlike standard documents, (the secret-pact papers) were highly likely stored in a manner known only to a select few officials.
 2審判決は、昨年3月公表された外務省や財務省の調査で発見されなかったことなどから「(密約文書は)通常とは異なり、限られた職員しか知らない方法で保管された可能性が高い。

We cannot deny the possibility that they were discarded in secret and were no longer under the general control of the government."
秘密裏に廃棄され、保管から外した可能性を否定できない」と指摘し、(1)の状態だったことを否定。

As for the latter criterion, Aoyagi pointed to the highly confidential nature of the documents and the possibility that they were destroyed before the Information Access Act came into force, concluding: "There are special circumstances that cast doubt on the government still being in possession of the documents at the time it refused to disclose them (over 30 years after the documents' creation)."
(2)についても、文書の秘匿性が高く情報公開法施行前に廃棄した可能性があることなどから「(文書作成から三十数年以上が経過した)不開示決定時にも保有していたという推認を妨げる特段の事情がある」と判断した。

Former Mainichi Shimbun reporter and plaintiff Takichi Nishiyama criticized the ruling. "To say that (existence of the documents cannot be surmised) because the documents were not stored normally and were destroyed is completely removed from regular people's common sense," he said. "The spirit of the information access act has been trampled on."
 原告の西山太吉・元毎日新聞記者は会見で「通常の管理と違うとして『文書は廃棄されたから仕方がない』と認めるだけの判決は社会常識とかけ離れている。情報公開法の精神がじゅうりんされた」と批判。

The latest ruling could be interpreted as having taken into account the special ways of keeping official documents not encompassed by the freedom of information law. It leaves many challenges for Japan's system of information transparency.
法が前提としていない公文書の特殊な取り扱いを認めたとも言える今回の判決は、情報公開制度に課題を残した。
【臺宏士、和田武士】

 ◇野田政権、再調査に消極的
 控訴審判決について、外務・財務両省は「主張が認められた」と評価。一方、判決が「文書が秘密裏に廃棄された可能性」を指摘したことについては、再調査をする考えはないとの姿勢を示した。09年政権交代の成果の象徴ともいえる密約調査だが、政官関係の正常化を目指す野田政権内で文書廃棄問題を追及する機運は乏しい。

 「『ないものはないんだからすいません』という話」。外務省出身でもある山口壮副外相は29日の記者会見でこう語った。財務省は「国側の主張が認められたものと理解している」(総合政策課)とのコメントを発表した。「公文書の保存管理で歴史的資料を残すとの観点が希薄だった。結果的に重要な歴史事実の検証が困難になっていることは反省している」(財務省幹部)との声もあるが、藤村修官房長官ら政権中枢は再調査への消極姿勢で足並みをそろえた。

 外務省の有識者委員会が昨年3月に公表した報告書は、沖縄返還時の原状回復補償費の肩代わり密約について「広義の密約」との見解を示した。ただ、根拠となる議事要旨の文書は見つからず、関連文書が廃棄された可能性を指摘した。

 さらに同月、東郷和彦元外務省条約局長が衆院外務委員会で「外務省の内情をよく知る人から(01年の)情報公開法施行前に関連文書が廃棄されたと聞いた」と語り、密約関連文書をまとめ、後任局長の谷内(やち)正太郎元外務事務次官に引き継いだと証言。岡田克也外相(当時)も「外交文書欠落調査委員会」を設置して聞き取り調査をしたが、文書の所在は分からず、廃棄した可能性を認める報告書を昨年6月に公表するにとどまった。

 谷内氏は29日、毎日新聞の取材に「本件については一切関知していない」と述べ、文書廃棄について改めて否定した。

 日大法学部の信夫隆司(しのぶたかし)教授(日米外交史)は「外務省の密約調査は、有識者委員会に諮る前に、内輪で調べたもの。網羅的で徹底した調査をしたというが、信用できるのか。廃棄していたとしたら、文書管理規定違反であり、責任を問わないのはおかしい。誰がなぜ廃棄したのかをはっきりさせないと、文書の不存在は明確にならない」と話した。【山本明彦、西田進一郎、大貫智子】

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 ◆「沖縄密約」を巡る経緯(※肩書は当時)◆

69年11月 日米安保条約を延長し、72年に沖縄を「核抜き、本土並み」に返還することで合意(日米共同声明)

   12月 柏木雄介大蔵省財務官とジューリック米財務長官特別補佐官が返還協定の対米支払額とは別枠の日本側財政負担などを記した密約文書に署名

71年 6月 吉野文六外務省アメリカ局長とスナイダー駐日米公使が軍用地の原状回復費400万ドルなどの日本側肩代わりについて記した密約文書に署名。日米両政府が沖縄返還協定に調印

       西山太吉毎日新聞記者が外務省の公電を入手し、米側が支払う原状回復費を日本が肩代わりする密約があったことを示唆する解説記事を執筆

72年 3月 衆院予算委員会で社会党の横路孝弘議員が西山氏から入手した外務省の公電のコピーを示し密約疑惑を追及

    4月 西山氏と公電を渡した外務省女性事務官を国家公務員法違反容疑で警視庁が逮捕(共に有罪確定)

    5月 沖縄返還

00年 5月 吉野氏のイニシャルのサインが入った密約を裏付ける米公文書の存在が判明

05年 4月 西山氏が「不当な起訴で名誉を傷つけられた」として、約3400万円の国家賠償を求めて東京地裁に提訴(最高裁で敗訴確定)

06年 2月 吉野氏が報道機関に密約の存在を証言

08年 9月 西山氏ら63人が外務・財務両省に密約文書などを情報開示請求(翌10月に両省が「文書不存在」を理由に不開示決定)

09年 3月 西山氏ら25人が不開示決定取り消しを求めて東京地裁に提訴

10年 3月 外務省の有識者委員会が密約調査の報告書をまとめる。原状回復費肩代わりについては「広義の密約」と認定。財務省が米国での無利子預金を「広義の密約」と認める

    4月 1審・東京地裁が原告側全面勝訴の判決。国が控訴

   12月 外務省が沖縄返還交渉などに関連する外交文書を一般公開。原状回復費肩代わりを巡るファイルから機密公電を焼却した痕跡を示すメモが見つかる

11年 9月 2審・東京高裁が原告側逆転敗訴の判決を言い渡すも密約と文書の存在を認め、文書廃棄の可能性を指摘

毎日新聞 2011年9月30日 東京朝刊
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by kiyoshimat | 2011-10-02 05:45 | 英字新聞

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